2008年07月01日

クリエイティブ業界とは(1)

「クリエイティブ業界」ってどんな業界?

ということですが、文字通り、日々クリエイティブなことをやっている業界ということが言えます。また、「クリエイティビティ」、「キャッチー」、「インパクト」、「コンセプト」などの言葉をよく使う業界でもあります。とは言え、朝起きて歯を磨く、「ん?この歯ブラシは歯へのインパクトが足りんぞ」とか、「このトーストの焼き方のコンセプトは何だ?」などというのでは日常生活を送るのも疲れてしまいます。

しかしながら、「表面はカリカリ、中身はふっくら…。よし、今度のパンフレットのデザイン・コンセプトはこれで行こう!」など、仕事以外のことをやっていても、ふと、携わっている仕事へのインスピレーションが沸くといった世界でもあります。言ってみれば、(どんな仕事もそうなんですが)、常に創造性が活性化されている状態が当たり前になっているため、仕事とプライベートの境界がブレンドしているような人たち(クリエイターと呼びます)が、自分たちの持てる創造性やアイデアをデザイン、映像、音楽、文章という手段で表現する業界のことです。

「クリエイティブ業界」についての詳しい定義は、「通弁」ホームページで説明しています。

http://www.rondely.com/tuben/column/cl7.htm

一般的にクリエイターと称する人間は、品質に対するこだわりがあり、日々自分の表現能力を高めようと精進努力している人種であるとも言えます。だからこそ、プライベートとの境目がなくなってくるのです。そして、こうしたクリエイターとして誇りを持っている人たちにとって致命的なのは、「あの人はクリエイターじゃない」と言われること。

さらに、クリエイターじゃないと言われる、その定義とは、

●品質に対するこだわりがなく、お金だけで仕事をする人
●自分のスキルや才能ではなく、「ごろにゃん」して仕事をもらってくる人
●表現アイデアを考えるときに、出来合いの「広告実例集」などから適当に選んで、アレンジした案を出す人
●仕事仲間を下請けとしか思えない人、ただで仕事をやらせる人
●クライアントさんの意向をきちんと伝えられない(伝えない)人

というふうな点があげられるかと思います。もっとも、クリエイティブとは言え、ビジネスですから、お金で仕事をする場合も「ごろにゃん」する場合もときには必要ですが、常にこういった態度がデフォルトになっている人のことを言います。

また、こういった定義は人によっても異なる部分もあるかと思います。世の中、いろんな人によって成り立っているわけで、どんな業界にも言えることですが、同じタイプだけでもうまく行きません。「クリエイターじゃない」的な人々もいて、また、そういう人たちが逆に「クリエイティブもわかるが、その前にビジネスなんだ」などと言いながら、異なるタイプの人間が協調したり、ぶつかり合ったりしながら、ざっくり生きているのがこの業界です。

2008年07月02日

クリエイティブ業界とは(2)

「クリエイティブ業界」ってどんな業界?

ということで、日々クリエイティブなことを考え、それをデザイン、映像、音楽、文章といった手段で表現する業界という定義がいちおう成り立ちます。

こう言うと、おもしろそうなことを考えて、自分の好きなことばかりやっている楽しそうで華やかな業界だ―などと思われるかもしれませんが、それは違います。

広告、カタログ、パンフレット、ビデオなど、何を創るにしても、「クリエイティビティ」とか「インパクト」などとカッコイイことを言っているだけでは何ひとつ完成しません。カタログの表紙やトップ見開きのデザイン、コピーはできているのに、「仕様や注意書きのページはどうなってるんですか?」、「いやあ、それって、クリエイティブな仕事じゃないし…」というようなところには、当然、仕事は発注できません。

「ものづくり」にはダイナミックで華やかな部分と、細かく地味で目立たない部分があります。言い換えれば、陰(いん)と陽(よう)の部分があるわけで、万物すべてこの二つの相異なる要素がそろってこそ初めて完全な姿になる、物には必ず明と暗の局面があるというわけです。

カラフルなデザインやキャッチフレーズを考えるのが「陽」の部分なら、商品の仕様をまとめたり、文字校正をすることが「陰」の部分とも言えるでしょう。

自分ごとになりますが、新卒で入社した制作会社での初めての仕事が「文字校正」でした。当時は、現在のようにパソコンもない時代ですので、データでテキストをそのまま流し込むということはできません。タイプ打ちされた原稿をもとに、印刷用に文字を打って貼り付ける「写植」というものが使われていました。

「じゃ、校正お願いね」ということで、元の英文原稿と上がってきた写植のコピーを渡されたのですが、ざっと目を通して、「終わりました!」と持っていくと、「修正箇所、どれくらいあった?」と先輩。「いえ、ありませんでした!」と元気に答えると、「ちゃんと見てくれたの?」と怪訝そうな様子。「はあ?」というわけで、先輩がざっと見ると、「ほら、ここも間違ってる、これも誤植でしょう?最初から、絶対にどこか間違っているはずというつもりでチェックしないとダメよ。もう一度やり直し」と付き返されてしまいました。

「毎日がクリエイティブ」という期待とは裏腹に、華やかな部分はほんの少しで、大部分が泥くさい、根を詰める地味な作業という現実。ひとつのものを作り上げるには、ダイナミック vs 緻密、派手 vs 地味といった両局面の視点を持つことが要求されるのです。

とは言え、人には適材適所があるもので、大まかで華やかな部分が得意な人間と、緻密で冷静なことが得意なタイプがいます。

職種によって分けられていることもあり、ひとつのものを制作するにも、いろんな人間が分担しながら共同作業をします。細かいタイプの人間に言わせれば、「この罫線はコンマ○ミリ細くしてください」、「アルファベット表記の前後はすべて半角スペース入れてください」などと言い出し、逆に、大まかな人間は、「そこまで言い出したらキリがない、納期に間に合わないよ」と悲鳴を上げ、「でも、大事なことだと思います!」と切り返す… そこへ、「まあまあ」と中くらいの考え方の人間が入って調整したりするという、なんだか、妙なバランスで成り立っている業界でもあります。